IBIZA Club Report


「あなたはイビサで何もみつけることはできない」村上龍は小説イビサのあとがきにそう書いている。そのとうりだと思う。イビサに行ったって何もない。こ洒落たホテルの立ち並ぶつまらない島である。加えて、セリビアあたりからここに来ると、同じスペインと思えないほどの物価の高さに驚愕することうけあいだ。だが、少なくともテクノ・ハウスフリークにとってここは“何もない島”ではない。(村上龍氏が“ハウス”なる音楽にまったく魅力を感じていないのはいうまでもない。氏を熱くさせるのは10年以上も前からキュ−バの音楽と決まっている)サマ−バケ−ションの季節には世界中から観光客が集まり、島の人口は何倍にも膨れ上がる。ここを訪れる人々の目的の多くはズバリ“踊ること”に他ならない。彼らにとって、イビサとは数少ない地上の楽園といっても決して過言ではないのだ。
この島の歴史は古く、紀元前10世紀にはフィニキア人の貿易中継地点として栄えてきた。1960代にはヒッピーの聖地として名が知られるも、当時はクラブはおろかホテルらしいホテルもなく、地中海の寂れた一観光地に過ぎなかったようである。後に欧米の資本家が参入し、にわかにリゾート地としての開発に拍車がかかるのは70年代も半ばに差し掛かった頃だ。80年代にはバレアリック・ハウスなるオリジナルの造語を生み出すほどの大規模なパーティが開催されるようになり、俄然ヨーロッパ中のハウサーから注目を浴びるようになった。今日では世界有数のクラビング・リゾートとして、確固たる地位を築いているといってもいいだろう。
旧市街はフィニキア文明の歴史的文化遺産ともいえるカテドラルや城壁、考古学博物館などが各所に点在し、厳かな雰囲気。注目のクラブ・ゾーンは郊外にあリ、バスで30分程度。AMUNESIA(CREAM)やCafe Del Mar、PACHA、Ministry of Sound、などの各メディアでもお馴染みのDiscoが犇いている。日本ではなかなか思うようにイビサの情報が手に入らないが、ハイシ−ズンともなれば、欧州の主要な都市から必ずといっていいほどイビサツアーを催す旅行代理店がある。レポは近日中にUP!