NY Club Report
ROXY − 515 west 18th St (between 10th & 11Th Ave)
http://www.roxynyc.com/
1996年、シングル"Give It Up"で全米ビルボードチャート1位を獲得。停滞気味だったNYハードハウス界において、まるで救世主のごとくトップシーンに踊り出たVICTER CALDERONE。それ以前にもNYのトワイライトやマイアミなどでDJキャリアを築いてきたが、この大ヒットによって彼のクリエイターとしての評価は磐石なものとなった。マドンナやオリビア・ニュートン・ジョンのリミックスワークなど、旬のアーチストとして、今乗りに乗っている彼がレジデントDJを務めるRoxyの土曜。NYでも最大級のパーティとして内外から注目を集めている。そんなシンデレラボ―イ(実は親父)のプレイを体感すべく、今回は一人で潜入を試みた。
地下鉄“14St”下車。そこから10分ほどハドソン川方面に歩き、大通りに出て、チェルシー・マーケットを目指す。メインストリートから離れており、しかも深夜なので歩いている人などほとんど皆無といっていい。午前1時に無事ROXYに到着。既にクラブ前は長蛇の列。並んで待つこと40分。ようやくオープン。満を期しての入場。簡単なボディチェックのあと、足早にフロアをめざす。ダンスホールに入るなり思わず絶句した。
「グオォォォォ…!!! スゲェ−!!」
そこには想像したこともない凄まじい光景がひろがっていた。2000人はいるだろうか。あるいはもっと多いかもしれない。もちろん全て男、おとこ、オトコ…である。(笑)上半身裸、そのボディはまるでギリシャ彫刻のよう。無駄な脂肪は徹底的に取り除かれ、ストイックなまでにシェイプされているマッチョばかり。そんなハードコアな野郎どもが、体育館のような巨大で密閉された空間の中で折り重なるようにして踊っているのだ。咽かえるような臭いがたまらん!。ゲホッ!ツーンと鼻を突く香水と、生くさい男の汗の臭いが入り混じって独特の異臭を放っている。わかる?想像できます?あーた!(山本監督調@トゥナイト)…悪夢…。否、そっちの方面の人にとってはこの世のパラダイスであろう。アムステルダムでも、バンコクでも、TOKYOでもない、まさにNYならではのリアルでアンダーグラウンドなコミュニティがあった。地球上にこのような場所が存在していたのかと感動した。マジで。
郷に入れば郷にしたがえっつーことで自らハダカになって踊りの輪の中に入る。彼らと違って貧相なガタイの小生は少しコンプレックスを感じてしまう。くそぅ…、やはり体を鍛え上げなければ!などとガラにもないことを考える。VICTER CALDERONEは自慢の!?スキンヘッドをテカらせながら、これが本場NY産正統派ハードハウスじゃ−い!!!といわんばかりのゴリ押しバッキバッキのトラックでたたみかける。ひえっ−!これ以上やったら…。もう許してッ−!!!とに悶えるように踊り狂うクラウド。ボルテ−ジはエスカレートする一方!。カタストロフ、ソドムとゴモラ、酒池肉林、三島由紀夫、狂乱状態…。自分でも何を書いているのかワケわからん。何でもこの日はスペシャルゲストとしてクラブ69のPeter Rauhofeの名も。なるほど、トライバルな歌ものが多くかかったのは彼がプレイしてたから?宴もピークに差し掛かろうというとき、突然、懐かしいフレーズが…。フランキ−・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、リラックスのハウスバージョン。思わず苦笑する。この退廃的な極みとも呼べるシュチュエ−ションにワザとらしいほどマッチしているではないか〜。途中、オシッコがしたくなってトイレへ。あれェ、男に混じって女の子がいるぅ…。だめじゃないかぁ、男子トイレへ勝手に入っちゃぁ−。なんて思っていたら、ムッ、違う…。おかしい…。あれっ!。…なんと小生が女子トイレに入っていたのだった。既にここでは男と女の区別はなく、もはやボーダーラインの垣根はとっくに取り払われている。大の個室に二人で入っていくイケイケのゲイカップルもいたりして…。オマエら−!そこでなにやっとんじゃい!と叫びたいところであるが、そんな逸脱した行為もここでは日常茶飯事。男同士パンツ一丁で熱いディープキスをかわしていても、まるで違和感なく周囲にとけこんでいる。最初は驚いたものの、次第に慣れ、かえってリラックスしエンジョイしている自分が怖い。男たちは目と目でアイコンタクト。お互いを舐めるように物色しつつ、好みのタイプを見つけると積極的にアプローチしている。客層は90パーセントが白人。年齢層も10代から40代までと実に幅広い。幸か不幸か、東洋人である我輩はまったくといっていいほどもてなかった。声すらもかけてもらえなかった。まあ、いいか・…。…ノンケだしぃ…。しかし、ちょっぴりプライドが傷ついたぜぃ。(笑)
なんだかんだで2時間ほど踊ったであろうか。ハードハウスでこんなに踊らされたのは何年振りだろう。しかーし!!である。最初は好奇心で楽しんでいたCALDERONEのパ−ティ−だが、はやくも飽きてきた。ちゅかクラウドが男だけというのも・…。正直いってやっぱり不自然だよぅ…。うん。可愛いトリッシュ似の女の子がいたと思ったら、実は美形のオカマだったりしてガッカリさせられること数回。あかん!ここは。やはりクラブは女がおらんとだめじゃ!女じゃ、おんな!という明確な結論に達したモンドゥ。クローズを待たず、ヴァスケスのプレイするトワイロへ逃げ出す決意を固めたのはいうまでもない。ROXYのサタデーナイト。それは一般ピープル公認の世界最大、史上最強のゲイクラウドのハッテン場なのであった。(;^_^ ・・・ー次回はばっちり体を鍛え上げて参戦いたしますぅ〜。