NY Club Report
TWILO − 530 west 27th St
http://www.twiloclub.com/
NYアフターアワーズ。西の横綱がBODY&SOUL@VINYLだとすれば、東の横綱はやはりヴァスケス@TWILOだろう。テイストは全く異なるものの、どちらのパーティーもゲイに支持されつつ、一般の人も楽しめるキャパシティを持っている。カルデロ@ROXYがゲイによるゲイの為の集いというコンセプトを前面に打ち出しているのに対し、TWILOはハードハウスの総本山というイメージ。男女の比率も7:3とノンケの人も安心。(笑) ROXYからTWILOへ移ったときは、正直ホッとしたものである。個人的な音楽的趣味からいえばヴァスケスよりもカルデロのほうがいいかな。まあ、今回に限ってのことかもしれないけど。基本的にどちらも同じ路線だし。
ROXYを出たのが午前3時過ぎ。歩いて10分ぐらいでTWILOにつく。クラブの前には人が大勢たむろしているのですぐわかる。黒人のプッシャーの兄ちゃんがエックスを買えとうるさくつきまとってくる。以前Sound Factoryのバウンサーが、Xをクラブの中で売っていた罪で逮捕され、5年から40年にわたる投獄を求刑されたという恐い話しをきいたことがある。そうなったらシャレにならんので今回はパス。入り口のところで簡単なIDチェック。ブリトニー・スピアーズ似の可愛い女のコがいたが、年齢制限の為入れずブーたれていた。けっこう厳しいんだね。
フロアは思っていたより広くない。まあ、中学校の体育館ぐらい。(広いか…) 前半はほとんど歌モノはかからず、渋めの大人しいトラックが中心。音は煩過ぎず、小さすぎずってところ。隣の人と十分に会話が出きるレベル。ゲイの人達ばかりという印象が強いが、女のコもけっこういる。5月にクラブ内にショップが開店し、Tシャツや帽子などのトワイログッズを販売していた。紙で出来たヴァスケスのお面が売っているのが笑えた。くだらないと思って買わなかったが、今思うとレアなので買っときゃよかったとちょっと後悔している。
午前6時を過ぎたころからROXYからドッとお客が流れ始める。ヴァスケスのエンジンがトップギアに入るのもこのあたりから。地を這うようなBASS、フロア全体を震撼させるような重いKICK。うちよせる大波のようなグル−ヴ。空中を飛び交う万華鏡のようなレーザー光線。1000人ほどのクラウドで超満員なのにもかかわらず、驚くほど冷め切った、乾燥した空気が会場を支配している。そのクールなパッションにヴァスケスの息吹を感じた。まるで操り人形のように、彼の手のひらの上で踊らされているよう。TWILOで踊る全てのクラウドがヴァスケスワールドの僕であり奴隷なのだ。正直に告白すればヴァスケスのプレイは実はあまり好きではない。というか単純に彼のかける曲が趣味に合わないと感じていた。NYでNO1といわれるTWILOの音の良さは認めるものの、はたして楽しめるかどうか?若干ではあるが懸念していたことでもあった。ところが、それは余計な杞憂にすぎなかった。予想を遥かに上回る圧倒的なジュニアの存在感に素直にひれ伏すしかなかったのである。ガラージ好きを自認する小生であるが、そのたたみかけるようなパワーでねじ伏せられてしまった。その強引さが彼のDJとしての”凄み”であり、TWILOというハコが持つ魔力なのだろう。テイストはあくまでも”シロいハウス”なのであるが…。後半、マドンナのリミックスオンパレードで嫌というほど燃え上がらせてくれた。一番美味しいところを最後に持ってくるあたりがまた憎らしい。
午前9時。外へ出ると、すでに夜が明けていて太陽が眩しい。なにか黄泉の国から生還したような気分になった。いかにジュニアのパーティーが非日常的な空間を演出しているかが窺い知れる瞬間である。NYクラブシーンの水面下における親父の影響力はやはり計り知れないものがあった。この底無しのDEEPな感触、NYのハウサー達が病み付きになるのも無理はない。
ヴァスケスのサタデ−ナイトの他にも要チェキイベントはある。
注目はなんといってもSasha&JonDigweed。毎週金曜日、TWILOでは大物DJのイベントが相次ぐが、とくに評判が高いのが彼らのパーティーである。TWILOの土曜のプレイを、さらにハードにビルドアップしたかようなヘビィなトラックが延々と朝までスピンされる。UK色が強く、ジュニアのような派手さはないが、よりダークな色を好むコアなテクノファンに支持されている。マニアックのアフターアワーズが好きな方にお奨め。NYアンダーグラウンドクラブシーンのクールな雰囲気も堪能できる。ゲイ色がないのも特徴。不定期開催なのが残念。