NY Club Report
V I N Y L
6 hubert Street (off of Hudson St)Dance Retual
入ったのは午後11時過ぎ。フロアはガラガラ。アレッて感じ。DJブースでは既にルイ・ベガがスタンバイ。少ないお客でも本人はノッているようで、体を揺らしながら楽しそうにお皿を回している。客も常連が多く、アットホームな雰囲気。Dance RetualのTシャツやグッズを売っているのも日本人の女の子。本人も知らないうちにお客から店員になっちゃいましたって感じ。(名前をきいたけど忘れてしまいました。ゴメン。)途中、黒人のヒップホップ大好き少年達が乱入。ブースの前で激しくブレイクダンスを踊りだす。もちろんルイのかける音楽なんてほとんど聴いちゃいない。ルイ、露骨にこいつらうっとうしいやっちゃなーって顔してた。(笑)
ここDance RetualはNY中からダンサーが集まってくることでも知られている。そういえば、たしかに踊りが上手い人が多いような気がする。とくに女の子がセクシー。ピチピチのパンツにへそ出しっていうスタイルの子が多かった。黒人のモデルっぽい女の子もよく見かける。まるで雑誌のグラビアから抜け出してきたみたい。みんな満面の笑みで愉しそう。
午前1時を過ぎた頃からお客が入りだし、ハコの温度も上昇してくる。最初はフージョンっぽいインストをかけていたルイだが、次第に歌ものへ移行していく。この辺のスムーズな流れは見事。レコードに合わせて大声で歌っているお兄さんもいる。カックイイ〜!日本でプレイするときとは展開やテイストが全くといっていいほど異なっているんだよね。これがルイの本来のプレイなんだと思いました。5月にリリースされたばかりのコンピ、Stop&Listenに入っていたBlazeのWishin You Were Here、PepeBredockのDeepBurnt(これ、大好き!!)などがかかり、さあ、よぉ…しぃ−、これからあげていきますかぁ!っていうときに終了。なんで−?時計をみたら午前3時。少し早すぎやしないか−!ルイ−!!(後からきいた話だと、いつも3時で終わるらしい。) 来週がDance Retual一周年記念パーティ&ルイのお誕生日会っーことで、今日は早めにお開きってことですかぃ?なんでも次回はトニー・ハンフリーズと共演するらしいじゃん。ちくしょー、そんときはもうNYにいないんだよぅ…。(泣)
Be Yourself
一昔前のトンネルの盛況は今でも伝説として語り継がれている。当時はライバルと目されていたヴァスケスをも凌駕する勢いで、NYハードハウス界の頂点に君臨していたDANNY TENAGLIA。アーチストとしても類いまれな才能の持ち主である彼はヒット曲を連発し、その界隈でもブイブイいわせていた。(古い表現だがダニ−に似合う。) ヴァスケスとの確執など、ゴシップネタも豊富に提供してくれていたし…。結局縄張り争い!?には敗れたものの、現在も金曜のVINYLにてレギュラーを持つ彼。“BE YOURSELF”なる名を冠したそのパーティーは、他のVINYLのガラージ系のメニューとは一味違う雰囲気。なんでもDANNYはDJを始めて今年25年周年らしい。スゲェ−ッ!。なるほど、昔からの熱心なリピーターも多く、もはや流行とは関係なく確固とした彼の世界を築き上げているといっていいだろう。DANNY節とでもいうべき独特のヴァイブレーションは健在だった。
VINYLに到着したのは午前2時近く。例によって泥酔状態。入るなりいきなり出迎えてくれたのは、重層的に絡みあったブッといシンセの音。その上を這うようにして深いリバーブのかかったVoがリピートされる。BPMは130ぐらい。早すぎず、遅すぎずといったところ。地味な曲でじらせるだけじらしておいて、最後に派手なバチもんで盛り上げる。この手の展開というのはDANNYが最も好むパターンであろう。あいかわらず独特のケミカル臭さが抜けていない。ある種のシンセのトーンに対して、強烈なフェチシズムを感じているのは間違いない。まあハウス、テクノ好きの人は殆どがそうだと思うんだけど、ダニーの場合は音の質感に対してのこだわりが他のDJに比べてより強い気がする。金属系の音にも弱そうだし…。かと思えばソウルフルなトラックもガンガンかける。どんなテイストの曲をかけてもしっかりとダニーの色に染まっているのが怖い。今回のVINYLでも、その硬派で質実剛健?なプレイはまったく変わっていなかった。DANNYはやっぱりDANNYでしかない。このスタイル、死ぬまで変化しないとみた。
お客はそこそこ入っていた。若い白人のカップルが多い。NYのクラブでは珍しい光景のように思える。DANNYはときおり薄ら笑いを浮かべながら、フロアで踊る客を見ている。ちょっとキモい。(笑) 連日のクラブ通いで疲弊しきっているのもかかわらず、しっかり躍らさせてもらいました。親父パワー衰えず!やっぱり、そこらへんにはいて捨てるほどいる若手DJとはキャリアが違う!貫禄勝ちッス!以前にも増して強烈なオーラを放っていらっしゃいましたー。ハウス好きだけでなく、テクノキッズにもお奨め。
終わり。
Shelter
http://www.clubshelter.com/Timmyのプレイを地元NYで体験するのは初めてなのである。前日からワクワクしながらこの日を迎えたのはいうまでもない。VINYL到着は午前1時過ぎ。この時、すでに小生を含む野郎共数名はアルコールで完全に出来上がっていた。足元をふらつかせながら泥酔状態でIN。入るなりいっきに酔いは醒めた。とにかく凄い熱気。まさに人間サウナ風呂。眼鏡が曇って前が見えんぞ〜!
やはり客層は黒人が中心で、ほとんど上半身裸。Timmyももちろん脱いでしまっているぞ。踊っていると肌と肌が触れ合い、他人の汗がねっとりと附着する。少しキモいぞ!これは−、な〜んて思っているのは小生だけ。そんなこと気にする連中なんてここにはいない。全員が思い思いに踊りに熱中して、ボルテージは最高潮。もしかしてリオのカーニバルもこんな感じじゃないの…?行ったことないけど。2時間もすると酸欠状態で頭がクラクラしてくる。VINYL名物の巨大な扇風機で火照った体を冷やす。けっこう気持ちいいんだなぁ、これが。途中、外の空気を吸いに何度かOUT。日本のクラブもこれくらいの柔軟性があればいいのに…。
ちらりとTimmyの方に目を向ければ心なしか怒っているよう…。目が完全にいってしまっているぞぅ〜。(笑)ガラージDJでこうゆう凄みが出せるのはこのおっさんだけかもしれない。まるで、なにかに執りつかれているようにプレイに熱中されておりました。ここって、ハウスという魔性の音楽に骨抜きにされたジャンキー野郎が集う、隔離された強制収容所のよう。皆さん、踊りが気合入りまくり〜。本当に心の底からダンスミュージックを楽しんでる感じが伝わってきやっす。恐いくらいに…。(笑)同じハコでありながらBODY&SOULとはまた全然違った雰囲気。(BODY&SOULは観光客が多い。)毎週来ているリピーターも多いのでTimmyも気の抜けたプレイはできないようっすね。なにか、こうなると客とDJとのバトルだぁ〜。まさにShelterという名に相応しいッス。だらだら隅でだべっているようなフ抜けた奴は出て行け〜みたいな…。でも、初心者お断りっていう雰囲気ではまったくないのでご安心を。ただ、最後にクラウド全員で合唱タイムが始まるときがあるんだけど、その迫力にびっくりするかも…。(汗)
あと気になったのは、日本ではあまり知られていない曲が多くかかったってこと。これ、ぜったい欲しい〜ってトラックが目白押し!もう〜、Timmyったら隠しネタ一杯持ってそうでうらやますぃ〜!モラレスやルイ・べガなどと比較するとラテン色が薄いのも好みが別れるところ。D・マンキューソが好んでかけそうなガラージ・クラシックもガンガン!とにかく、ラストまで休憩無し踊りまくりの3時間!もちろんノンスットプでっせっ〜〜〜!!!
フト気が付けばフロア中に葉っぱの臭いがプンプン…。(^^ゞ
トワイロやロキシー等のハードハウス系のパーティーではケミカルドラックが幅をきかしているけど、ここではやはり“草”が多くもちいられているようですねェ。VINYLがアルコール禁止なのでかわりにやってるって訳でもないんだろうけど、なにかNYというより西海岸っぽい開放感があるんだよねェ−。Timmyも終始ノリノリで、まさにエモ−ショナル&イノセントなパーティーでありました。結局、3週間連続して参戦させていただきました。どーもご馳走さまでした−♪。*
蛇足ではあるが、小耳に挿んだお話を一つばかり…。
NY在住のコアなハウスファンの中にはアンチシェルター派っていう人達が少なからず存在する。今回の渡米で知り合った在NY歴10年のK氏もその一人。今でも毎週のようにクラブ通いをし、レコ屋巡りも欠かさない、自他ともに認める筋金入りのハウサーである彼の辛口トークは痛快であった。NYクラブシーンの裏事情に詳しいK氏にかかっては、天下のマエストロの評価もボロボロ!(笑)日本人でここまでTimmyの悪口を言う人にお目にかかったことがないので、それなりに面白かったが。
彼に言わせるとTimmyはごくたまに露骨に手を抜いたPlayをするのだそうだ。つーか、毎週同じレコードばかりかけるらしいのだ。(これは俄かに信じがたいが、NYのクラブ通のあいだではけっこう有名な話しらしく、他の外人も似たようなことをいっていた記憶がある。僕は3週連続で通ったが、そんな印象はまったく受けなかったけどねぇ。)Timmy自身シェルターでのDJプレイはいい加減飽きてきており、VINYLよりもむしろ東京でのPlayの方が遥かに気合が入っているとK氏は語る。つまり金になるってこと!?(下世話な話しだなぁ。)
91年から10年に渡って続いてきたこのパーティも、客こそ入ってはいるもののマンネリの波には逆らえず、初期の新鮮味が薄れてきていると、あからさまに不満を口にするK氏であった。オープン時に来ていたファンも離れてしまい、今来ている人達は昔からのガラージファンではなく、単純にTimmyのファンっていうことらしい。まさしく偏見とでもいうべき個人的な主観の入ったコメントだが、参考までに報告しておく。
眉唾モノの噂ではあるが、水面下ではVINYLの土曜をマエストロから奪おうという動きもあるそうだ。このままでは若手のガラージDJが育たないというのだ。だが、TimmyはVINYLのオーナーと親しいので、(事情通によれば、Timmyってお皿を回す不動産屋っていわれている!?)そう簡単には話しが進まず、内情はかなりゴタゴタしているらしい。去年の11月にVINYL閉鎖騒動があったが、その話しも絡んでのトラブルだったのか?真相は謎に包まれており、ようわからん。そういえばTimmyはモラレスやルイ・べガ、ケボーキアンなどの他のガラージDJとはあまり交流がなく一匹狼のところがある。2001年を迎えた今、この先シェルターがどうなってしまうのか、今までどうりNY屈指のガラージパーティとして君臨し続けていくのか興味深いところではある。
なんだか、Timmyのファンに怒られそうな内容で申し訳ない…。これからシェルターのパーティーを楽しもうって人に対して、水を差すようなことを書いちゃいました。あんまり気にしないで下さい。マジでTimmyのパーティーはお薦めっス!彼がコマーシャルベースでDJをしてるのではないことは、そのPLAYを聴けば明白!NYに寄ったからには、絶対に一度は足を運んでおいて損はないクラブっス。
Body&Soul
http://www.bodyandsoul-nyc.com/日本でも数々のメディアに取り上げられ、その存在を知られるようになったBODY&SOUL。パラダイスガラージのスピリッツを受け継ぐ、正統派ガラージパーティーというふれこみは誇張でもなんでもなく、日曜ののどかな昼下がり、ソーホーの一角はNYで一番熱い場所に変貌する。今日に至ってNYのアンダーグラウンドクラブシーンを引率するほどの影響力を持つパーティーに成長したBODY&SOULだが、その歴史は意外と浅く今年で4年目。
中心となるDJ三人組はおのおのが説明不要のキャリアの持ち主。
ダンストラックスのオーナーであるジョー・クラウゼルはアフロテイスト&パーカッシブなトラックを好み、ノッテくるとプレイの最中でもフロアに下りてきて、客と一緒に踊ってしまうという茶目っ気もある。はっきりいって完全に自分を見失ってます、この男!(笑)そこがいいという人多数。
ケボーキアンは自らスタジオを運営していることもあり、エフェクトを多用したスペーシーで広がりのあるアブストラクトなトラックがお好み。最近の彼はDNBにはまっているらしく、今回も客が引いているにもかかわらず、強引に好みの2STEPをかけまくり、一人昇天していたのがおかしかった。
ダニー・クリビットは先の二人と比べるとある意味保守的。しかし、ガラージの王道とでもいうべきスタンダードな名曲をスピンさせれば、その右にでるものはなく、ハズさないDJということでいえば信頼度No1である。つなぎも丁寧だし…。日本でもBODY&SOUL好きという人は、イコール彼のファンであることが多い。
個性豊かなベテランDJ3人がお互いエゴを剥き出しにすることなく、みごとな調和を保ちながら素晴らしいハーモニーを聴かせてくれるというお値打ち感がこのパーティーの最大の魅力だろう。一度でいいから日本でBODY&SOULをやってほしいと願うのはオレだけではない筈。NYのセントラルパーク以上の盛り上がりをみせること必至。問題は場所とギャラだが…。(2002年、2003年と連続で六本木ベルファ−レで行われた模様。残念ながら、小生はヨ−ロッパに滞在していて参加できませんでしたが。現在本国アメリカでは開催されていないので、このまま毎年持続して行われるとすれば日本が唯一BODY&SOULを体感できる場所になるんですね。時代の流れを感じます)
内容盛りだくさんの今回のNYクラブ旅行。が、BODY&SOULだけは苦い思い出が・…。ちゅうか実はほとんど寝てしまっていた。(爆) 昼と夜がほぼ逆の生活を送っていたので、日中やっているBODY&SOULは正直キツかった。連日のクラブ通いの疲労が日曜日にピークに達するのである。
土曜にトワイロやシェルターをはしごして、ホテルに戻るのが10時頃。飯を食って寝るのが12時。根性で午後4時に起床。VINYL到着は6時。30分ほど踊るのだが、すぐにガス欠。ブース近くの椅子に腰掛けようものなら、そのままいっきに爆睡モード突入。ときおり黒人のにいちゃんに話し掛けられるのだが、意識は朦朧とし、いま自分がどこにいるのか正確に判断できない始末。ダニーやジョーのかけるレコードはほとんど子守唄がわり。いやーっ、贅沢で心地よい眠りをむさぼらさせてもらいました。今から思うとちょっともったいないことしたなーと思うこともしばしば。でも、本当に良く寝たぁ−。(^^i)ははは。g