遺産分割がまとまらなかったら・・・・・・<<< 遺産分割調停の申立書とその後の書面の作成 >>>
遺産分割がまとまらなかったら
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突如司法書士から「遺産分割協議書(案)」などが送られてきたが、これに不満がある方
相続人同士で結論が出ないときは、
家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てる しかありません。
放置すると、遺産は塩漬けになり、
10年後には寄与分の主張・特別受益の主張ができなくなります。
★ 《遺産分割調停 手続きの流れの概念》
相続人の間で遺産分割の話し合いを行う
↓
話し合いが紛糾し頓挫する。
↓
遺産分割調停を家庭裁判所へ申し立てる。
↓ ↓
↓ 調停成立
調停での話し合いがまとまらず
調停不成立
↓
↓
自動的に審判に移行
裁判官が法に従い遺産の分割を決める。
↓
審判に不服がある場合は2週間以内に家庭裁判所へ高裁宛ての即時抗告状を提出し即時抗告を行う
★ 報酬と費用
報酬:
調停申し立てから終了までの書面作成A4紙25枚までは16万5000円。+追加の書面作成A4紙1枚につき11000円
費用:
① 戸籍などの収集の費用(1通につき2200円)
② 家庭裁判所へ提出する収入印紙(1200円)(寄与分を定める処分調停を申し立てる場合はさらに1200円必要です。)
③ 家庭裁判所へ提出する切手(各地の家庭裁判所により異なるが、相続人一人につき5000円程度)
④ 調停の進行により、不動産の鑑定費用・銀行の取引履歴や残高証明を取り寄せる費用・自治体において名寄せや不動産評価を取得する費用など、あるいは証拠を入手する費用が必要になる場合があります。
★ ご注意いただくこと
※ 当事務所は司法書士事務所です。家庭裁判所へ提出する書面を作成します。調停の期日は月に1回程度平日におこなわれますが、この期日には家庭裁判所へは依頼者本人に出向いていただく必要があります。
※ 遺産分割調停では、一部の調停手続きと異なり、寄与分、特別受益、ほかの相続人の使い込みなど何らかの主張を行う場合は、証拠が必要になります。(例:相手になる相続人が特別受益に該当する贈与を受けていたような場合は贈与契約書などの証拠が必要になります。)
※ 証拠もなく主張だけを行っても認められることはありません。
※ 使い込みについて
「ほかの相続人が被相続人の生前に、預金を使い込んでいたはずだ。取り戻したい」との相談を受けることがありますが、
① 遺産分割調停は被相続人の生前の財産の減少については遺産(被相続人の死亡時の財産)の問題ではないとして、遺産分割調停では問題にされません。仮に使い込みであれば、不当利得返還請求などの訴訟を地方裁判所や簡易裁判所で行うことになります。
② 被相続人からほかの相続人への贈与であり特別受益に該当する場合もありますが、これを調停において主張するには贈与契約書などの証拠が必要になります。
③ これに対して被相続人が亡くなってから後にほかの相続人による預金の引き出しなど遺産の処分が行われた場合は、民法906条の2により遺産分割対象に含めることができる場合があります。
※ 秘密保持:調停の相手に見せたくない提出書面などは、その旨家庭裁判所へ書面で伝え配慮を求めることができますが、相手方にも認識させる必要がある場合など、裁判所の判断により、見せる場合もあります。
※ 調停時の別席:顔を合わせたくない相手がいる場合、家庭裁判所にその旨書面で伝え、配慮を求めます。家庭裁判所はできるだけその意向を汲みます。
※ 相手方となる相続人に押しの強い人がいる場合でも、遺産分割調停は調停委員が進行し、話を聞いてくれます。押しの強い相続人を気にせず、主張し立証することが可能です。
※ 被相続人が借金をしている場合があります。被相続人とあまり行き来のなかった方など、被相続人の債務について情報がなく不安な方は、最低限、全銀協、CIC、JICCに対して被相続人の債務を照会することをお勧めしています。いきなり遺産分割協議を始めてしまうと、これを「法定単純承認」事由とされ、被相続人の債権者から支払いを求められる可能性が生じます。この照会には戸籍などが必要になります。当事務所に合わせてこの照会手続きを依頼することもできます(費用別途)。